ずれ弾性率,せん断弾性係数ともいう。弾性係数の一つで,比例限度内においてずれ変形(形の変化)を起こさせる応力(せん断応力)とそのときに生ずる変形の大きさ(角度で表され,単位はラジアンを用いる)との比をいう。大きな剛性率をもつことが固体の特徴で,この値の大きい物質ほど変形しにくい。液体は,体積を変えるには固体と同じ程度の力を必要とするが,ずれの力に対しては自由に形を変えてしまう。固体が“かたい”というときは,ふつうは大きな剛性率をもつことと結びついている。剛性率は物質に特有の定数である。
→弾性係数
執筆者:二宮 敏行
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…比例限度をこえるひずみの大きいところでは,高次弾性を考えねばならないが,ふつう,弾性限度の範囲内では,近似的に比例関係が成立しているとして取り扱ってさしつかえない。 弾性係数としては,伸びのひずみと応力の関係を与えるヤング率,ずれのひずみと応力の関係を与える剛性率(ずれの弾性係数),静水圧(すべての方向に一様な圧力)による体積変化の割合を与える体積弾性率などがある。また,ある方向に伸び(あるいは縮み)のひずみを生じさせたとき,その方向と垂直な方向に逆符号のひずみ(伸びに対しては縮み,縮みに対しては伸び)が生ずるが,この二つのひずみの割合をポアソン比と呼ぶ。…
…このほかに,結晶を構成する原子どうしの相互作用ポテンシャルが中心力(ポテンシャルが相互の距離のみに依存する)の場合,コーシーの関係と呼ばれる関係がある。 もっともふつうに使われる弾性係数は,ヤング率,剛性率(ずれ弾性率),体積弾性率,ポアソン比である。これらは等方弾性体について次のように定義される。…
※「剛性率」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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