改訂新版 世界大百科事典 「セヌフォ族」の意味・わかりやすい解説
セヌフォ族 (セヌフォぞく)
Senufo
西アフリカのコートジボアール北部を中心に,隣国のマリ,ブルキナファソ(旧オートボルタ)にまたがって居住する部族。人口は85万を超えると推定される。言語の区分でいえば,セヌフォ語は,マリのドゴン語やブルキナ・ファソのモレ語(モシ語)と同じボルタ語群に属する。サバンナ化した草地で焼畑農耕を行い,ミレット,ヤムイモ,ラッカセイ,陸稲などを栽培する。政治的統合は村落レベルにとどまり,首長制王国のような発達した政治組織をもたなかった。鍛冶,シンチュウ工芸,木工,皮革工芸,機織,壺作り,ヒョウタン細工などの職人が細かく専門分化している。とくに仮面や彫像の製作では,アフリカでも有数の名高い部族である。これらの工芸は精神世界と深くかかわりをもっており,それ自体が霊力をもって,占い,成人式,葬送儀礼などの場面や,農産物の豊穣儀礼などに用いられ,結社のメンバーによって仮面ダンスなどが繰り広げられる。
執筆者:赤阪 賢
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報