改訂新版 世界大百科事典 の解説
ゼネラル・エレクトリック[会社]
General Electric Co.
略称のGEで知られる世界最大のアメリカの総合電機メーカー。本社コネティカット州フェアフィールド。1890年にエジソン系各社を合併して設立されたEdison General Electric Co.とThomson-Houston Electric Co.とが92年に合併して創設された。それまでに前者は直流低圧高抵抗フィラメント電球方式を,後者は交流高圧アーク灯方式を開拓していたが,両社の合併を契機に交流高圧送電・高抵抗フィラメント電球の開発に着手するとともに,交流理論の大家スタインメッツを顧問に招き研究体制を強化した。93年には金融恐慌のあおりを受けて財政危機に直面し,J.P.モーガンに援助を求めた。また同年ナイアガラ滝発電所建設受注競争ではウェスティングハウス・エレクトリック社(WH)に敗退した。96年にWHと特許相互利用協定を締結した。1901年にはマサチューセッツ工科大学のコロイド化学者ホイットニーW.R. Whitneyを迎えてGE研究所を創設した。初期の研究テーマは白熱電球の質的向上を図ることで,ウィリアム・バローズの空気抽出工程の改善,W.D.クーリッジのタングステンフィラメントの研究,I.ラングミュアのガス入り電球の開発といった技術革新を達成した。19年にアメリカン・マルコーニ社を買収し通信機部門へ進出,またRCA社設立にも参画。アメリカにおける白熱電球市場の過半を制したGEは,20年代には世界市場の制覇にも乗り出し,東京電気(現,東芝)を含む各国の電球メーカーの大株主となり,また家庭用電気器具の普及を背景にこの部門の強化を図った。第2次大戦中には原子爆弾開発のマンハッタン計画に参加し,戦後はハンフォード研究所の運営を委託された。56年には電子計算機部門に進出したが,その後IBM社との競争激化により70年撤退。現在の事業内容は,家庭用電器,産業用機器から航空機エンジン,サービス部門(クレジットなど),放送,天然資源等幅広い。売上高1513億ドル(2004年12月期)。
執筆者:青木 良三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報