日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソフトフォン」の意味・わかりやすい解説
ソフトフォン
そふとふぉん
softphone
パソコンやスマートフォンなどの端末に専用のソフトウェアをインストールすることで、音声通話やテレビ電話として利用することができるIP電話サービス。ソフトウェアsoftwareとテレフォンtelephoneをあわせた造語である。通常の電話は電話機が電気信号を音声に変換するが、ソフトフォンはその変換をソフトウェアによって行うものである。パソコンの場合、電話機のかわりにスピーカーとマイクロフォン、またはヘッドセット(ヘッドフォンにマイクロフォンがついたもの)を使用して会話を行う。この方式で固定電話やインターネット回線、移動体通信網を利用した通話サービスは数多く存在する。大別すると、(1)従来の050ではじまる電話番号を使用しているIP電話サービス、(2)Skype(スカイプ)やLINE(ライン)などのソフトウェアをパソコンやスマートフォンに組み込む、電話番号は利用しないインターネット電話、(3)NTTのひかり電話や企業向けのテレビ会議システムなどでおもに用いられている、固定電話の通信網と電話番号を使用したIP電話サービス、などがある。
総務省は、これらのIP電話サービスのうち、固定電話や携帯電話の090と080番号を使用して音声通話ができるソフトフォンを、新型の電話サービスと位置づけ、通信回線の安全を確保するために認証制度の策定を進めている。
このタイプのソフトフォンでは、パソコンやスマートフォンだけでなく、無線LAN(ラン)機能を搭載したスマートテレビやタブレット型端末に専用のソフトウェアを組み込むことで、専用電話機などがなくてもテレビ電話の通話環境を整えることができる。さらにこれらの端末はすべて内線電話機としても使用が可能になる。固定電話回線を使用するため通話品質も向上する。また、自宅のインターホンを介し、来客の応答を外出先のスマートフォンで行うことができ、将来は、さまざまな家電製品に電話機能をもつソフトウェアを組み込むことで、自宅内や外出先からの遠隔操作が可能になる。
ただし、国際的にこのようなソフトウェアに関する認証制度はまだ整っておらず、通信網の安全性やウイルス対策などを考慮した基盤づくりが急がれている。
[編集部]