スカイプ(読み)すかいぷ(英語表記)Skype

翻訳|Skype

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカイプ」の意味・わかりやすい解説

スカイプ
すかいぷ
Skype

ルクセンブルクスカイプ・テクノロジーSkype Technologies社が2003年に開発したインターネットプロトコルを使った電話システム、およびソフトウェアの名称。創業者・開発者はニコラス・センストロムNiklas Zennstrom(1966― )とヤヌス・フリスJanus Friis(1976― )。インターネットプロトコルであるTCPIPを使い、P2P(ピア・ツー・ピアpeer-to-peer。サーバークライアントという関係ではなく、個々コンピュータが対等な関係で接続しあう形態)で通信を行うIP電話のサービス。おもに、ウィンドウズマッキントッシュパーソナルコンピュータを使うが、無線LANにつながるスカイプ専用の電話機も発売されていて、かならずしもパーソナルコンピュータが必要ではない。スカイプが他のIP電話の技術よりも優れているのはサーバーを必要としないため、利用者が増加しても、運営にあたってのサーバー投資が必要ない点である。

 サーバーが必要ないため、ユーザーが増大してもコストがかからず、かつ回線を集中させないため、堅牢(けんろう)なシステムであると思われていたが、2007年8月にはウィンドウズの修正プログラムが公開され、多くのウィンドウズマシンが同時期に再起動されたことと、スカイプに含まれていたバグ(不具合)が原因で、通話が不能な状況に陥った(現在、バグは修正済みと発表されている)。

 スカイプ同士の一般の利用料金は無料だが、従来公衆網へ電話をしたり(スカイプアウト)、従来の公衆網から電話を着信したりすると一定の通話料がかかる。しかし、それも一般の電話料金と比較すると非常に安価である。

 しかし、電話会社という事業者がなくても、通話サービスが提供可能であるということから、電話事業を国営で行っているいくつかの国においてはスカイプを禁止しようとする国もある。また、日本においては「インフラただ乗り」議論の一部にもなっている。

 技術的には非常に優れていることは万人が認めるところであるが、既存事業との折り合い、あるいはインフラ(インフラストラクチャー)維持との折り合いをどのようにつけていくかが今後の課題である。

[中島由弘]

『清成啓次著、石村賢一監修『Skype――世界規模の電話代無料革命』(2005・新紀元社)』『響三郎著『スカイプのすべて1、2』(2005、2007・RBB PRESS、オーム社発売)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android