ソーシャルハラスメント(読み)そーしゃるはらすめんと(英語表記)social media harassment

デジタル大辞泉 「ソーシャルハラスメント」の意味・読み・例文・類語

ソーシャル‐ハラスメント(social harassment)

ソーシャルメディアハラスメント

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソーシャルハラスメント」の意味・わかりやすい解説

ソーシャル・ハラスメント
そーしゃるはらすめんと
social media harassment

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)利用者間で行われる嫌がらせ誹謗(ひぼう)中傷総称ソーシャルメディア・ハラスメントsocial media harassmentを略したことばで、ソーハラともいう。明確な定義はないが、人間関係の優位性や匿名性を背景に、フェイスブックツイッター(現、X)、LINE(ライン)などのSNSで、(1)友人登録を迫ったり自らの投稿へのコメントを求めたりする「関係や反応の強要」、(2)投稿内容を職場で話題にしたり、本人以外の人物が写った写真や動画を無断で投稿したりする「プライバシーの侵害」、(3)投稿者を不特定多数で集中的に誹謗中傷する「個人への攻撃」、などの行為が該当する。不特定多数による誹謗中傷やプライベート領域への過剰な干渉などが精神的苦痛となり、被害者が体調不良や精神障害に陥るケースもある。2020年(令和2)に、SNS上の誹謗中傷が原因で女子プロレスラーが自死に追いやられる事案が発生するなど、著名人の自殺が日本だけでなく韓国、アメリカ、イギリスなどでも相次いでいる。

 フェイスブックなどのソーシャルメディアが一般に浸透するようになった2012年(平成24)ころから、このことばが使われるようになった。当初は私的なやりとりに使っていたSNSを職場の人間関係にまで持ち込んだことによるトラブルが多かったが、SNSの普及に伴い、特定の個人を多数で継続的に誹謗中傷する事案が社会問題化した。2022年には、改正プロバイダ責任制限法(正称「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」平成13年法律第137号)が施行され、匿名の個人攻撃者を特定するための請求手続が簡素化された。しかし総務省が委託した違法・有害情報相談センターによると、インターネット上の誹謗中傷などの相談件数は、2015年以降毎年5000件を超えており、ソーシャル・ハラスメントに歯止めがかかっていないのが実態である。

[編集部 2023年10月18日]

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