タシロイモ(その他表記)Tacca leontopetaloides(L.)O.Kunz.(=T.pinnatifida Farst.et Forst.f.)

改訂新版 世界大百科事典 「タシロイモ」の意味・わかりやすい解説

タシロイモ
Tacca leontopetaloides(L.)O.Kunz.(=T.pinnatifida Farst.et Forst.f.)

地下に球茎を有し,外見はコンニャクに類似したタシロイモ科の多年草。球茎は扁球形で直径10~30cmになり,2~数枚の葉を根生する。葉は円柱形の長さ30cm~1mの長い葉柄を有し,葉身は3裂しさらに各裂片は多裂してコンニャクの葉に似る。花茎は葉よりも高く,頂端に緑色あるいは帯暗紫色の大きな苞を数枚~10枚つけ,その中に散状に花を多数つける。花は3~5cmの花柄を有し,子房下位でらっぱ状になり,開花時には垂れ下がる。また苞間より10cmほど長い不稔花起源の糸状体を生じ,垂下して奇妙である。大きな球茎は15~20%のデンプンを含むが,生芋は苦くて有毒なため,そのままでは食用にできない。すりつぶし水で洗い,有毒成分を流して集められたデンプンを利用する。かつてはアフリカ,インドから太平洋諸島に広く栽培されていて,19世紀中ごろにはハワイやフィジーからハワイアンアロールート,あるいはフィジアン・アロールートの名でタシロイモデンプンが多量に輸出されていたこともあるし,小笠原でも栽培されていたことがある。現在ではトンガ諸島のタパ布作りの糊など,ごく特殊な目的に栽培されているにすぎず,各地で野生化した状態で見られる。乾燥に強く,サンゴ礁の島でもよく生育したので,太平洋諸島では背の低い収量の多いもの,花が緑色のもの,暗紫色のもの,苞が幅広いものなどいくつかの品種が分化していた。原産地は,はっきりしないが,インドと推定されている。
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百科事典マイペディア 「タシロイモ」の意味・わかりやすい解説

タシロイモ

東南アジアポリネシアに広く分布するタシロイモ科の多年草。高さ70〜100cm。葉は3裂して深く切れ込む。塊茎は大量のデンプンを含むが,苦みがあってそのままでは食用に適さないので,すりつぶして何回も水洗し,精製したものを食用とする。

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