アロールート(読み)あろーるーと(英語表記)arrowroot

翻訳|arrowroot

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アロールート」の意味・わかりやすい解説

アロールート
Maranta arundinacea; arrowroot

クズウコン科の多年草で,熱帯アメリカ原産。和名をクズウコンともいう。地下に多肉の根茎があり,多数の茎を生じて,2列に幅の広い葉をつける。葉の基部は鞘をつくって互いに抱き,カンナのような外形を呈する。葉もカンナに似て大きな長楕円形,中央の葉脈から左右に斜めに羽状の平行脈を分枝する。茎の上部にまばらに数個の白花をつける。根茎には多量のデンプンを含み,キャッサバと同様にデンプン原料として生産されるほか,家畜の飼料にもされる。花が美しいため観賞用に栽培されることもある。なお,本種のほかウコンやカンナの1種 Canna edulisなど,単子葉植物で根茎からデンプンのとれる植物を総称してアロールートということもある。この場合は,それぞれの産地に合せて East Indian arrowroot,Queensland arrowrootなどと呼ぶ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アロールート」の意味・わかりやすい解説

アロールート
あろーるーと
arrowroot
[学] Maranta arundinacea L.

クズウコン科(APG分類:クズウコン科)の常緑多年草。和名はクズウコン(葛鬱金)で、ニシインドアロールートの名もある。葉は円みを帯びた細長い三角形で、長さ30センチメートルほど。長い葉柄があり、何枚もの葉が地面から束状に出る。花茎は2メートルほどに伸び、白い3弁の小花が開く。肥大した地下茎からは、粒子の細かい、良質のデンプンがとれる。消化がよいので病人食や幼児食に最適で、菓子や料理に使用される。原産地は南アメリカの熱帯地域。西インド諸島を中心に、熱帯各地でデンプン採取用および現地人の食用に栽培されている。なお、カンナ科のクイーンズランドアロールート(ショクヨウカンナ)、ショウガ科のヒガシインドアロールート(ホソバウコン)など本種のほかにもアロールートとよばれる植物は数種あり、いずれも地下の根茎からデンプンをとる。

[星川清親 2019年6月18日]

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