ダンチャン(その他表記)dan tranh[ベトナム]

改訂新版 世界大百科事典 「ダンチャン」の意味・わかりやすい解説

ダン・チャン
dan tranh[ベトナム]

ベトナムの代表的チター属楽器。弾箏と記される。16弦の箏にあたる。13~14世紀からベトナムで使われ始め,当時は15弦であったという記録もある。現在のものは,日本の箏より小型で,可動の柱のほかに糸巻をもつ。弦は17世紀までは絹であったが,その後は金属。右手の親指人差指(北では中指にも)に金属製の義甲をはめて奏し,左手は弦の張力を変化させて,押出などのこまかいニュアンスづけを行う。独奏のほか,月琴ダン・グエット(弾月)と合わせたり,それに2弦の胡弓ダン・ニーを合わせた合奏,あるいは改良劇(ハット・カイ・ルオン)等で用いられる。良家の子女のたしなみ,という点で日本の箏に似た機能をもっている。なお,典型的な二つの音階(バクbacとナムnam)に調弦され,音高は相対的である。
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百科事典マイペディア 「ダンチャン」の意味・わかりやすい解説

ダン・チャン(弾箏)【ダンチャン】

ベトナムのロング・ツィター属の撥弦楽器。ダン・チャインとも。中国起源。日本,朝鮮半島,中国の同様の楽器(カヤグムジョン)のなかでは最も小型で,共鳴胴の長さは90〜110cm。16本の金属弦が可動柱の上にわたしてあり,義爪をつけて演奏する。かつては宮廷音楽用の楽器であったが,今日でも独奏や合奏で広く用いられる。22弦の改良型も広まっている。

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