日本大百科全書(ニッポニカ) 「チェトニク」の意味・わかりやすい解説
チェトニク
ちぇとにく
Četnik セルビア・クロアチア語
第二次世界大戦中ユーゴスラビア王国のミハイロビチを指導者とする抵抗組織。
本来、チェトニクとは、19世紀後半にオスマン帝国からの解放を目ざし、マケドニアに生まれたセルビア人不正規義勇兵の団体名。第一次世界大戦後、軍隊に準じる組織として、ユーゴスラビア王国内のセルビア民族主義者と結び付いて活動した。第二次世界大戦中の1941年4月、枢軸軍がユーゴスラビアを占領すると、ミハイロビチが王国軍の降伏を承認しないセルビア人将兵を集め、「チェトニク」として再編成した。等しく蓄えたひげを特徴とするチェトニクは、ロンドンの亡命政府の支持を受け、枢軸軍に対する抵抗の基本姿勢として「待機主義」をとった。このため、チトーを中心とするパルチザン運動と敵対することになり、結局枢軸軍と共同行動をとるに至った。連合国側の支持を失い、枢軸国の敗退に伴って1945年に解体した。
ユーゴスラビア解体後のセルビアでは、2000年10月にミロシェビッチ政権が崩壊したあと、チェトニクの名誉回復が急速に進んだ。パルチザン運動とチェトニクは同等の抵抗運動と評価されるようになった。
[柴 宜弘]