改訂新版 世界大百科事典 「チタン鉱物」の意味・わかりやすい解説
チタン鉱物 (チタンこうぶつ)
titanium minerals
チタンを含む鉱物の総称。チタン鉱物の種類は多く,約90種に達する。これらは主として酸化鉱物,水酸化鉱物,ケイ酸塩鉱物であるが,これらの鉱物中でチタンは多くの場合Ti4⁺の酸化状態で存在する。チタンは平均して大陸地殻中に0.9重量%含まれ,大陸地殻を構成している元素としては,O,Si,Al,Fe,Ca,Mg,Na,Kに次いで第9番目に位置するほど多量に含まれている。チタンは火成岩中ではFe-Ti-O系鉱物やチタン石titanite,sphene CaTiO(SiO4)(くさび石ともいう)として存在し,また,黒雲母,角セン石,輝石などの有色鉱物中にも含まれている。一般に塩基性の火成岩ほど多量のチタンを含んでいる。チタンは堆積岩中にも含まれている。チタンは移動しにくいことを特徴としているので,火成岩や堆積岩が変成作用を受けても,そのチタン含有量は著しく変化しない。チタンの酸化鉱物にはルチル,アナタースanatase,ブルッカイトbrookiteなどがあり,これらはいずれも化学組成TiO2の多形の関係にある。火成岩の副成分鉱物として含まれるチタンの大部分はFe-Ti-O系鉱物中に存在している。すなわち,Fe2O3成分を溶かしているチタン鉄鉱FeTiO3とFe2TiO4成分を溶かしている磁鉄鉱Fe3O4である。花コウ岩類には,その副成分鉱物として2容量%に達する磁鉄鉱を含むものと,0.2容量%以下のチタン鉄鉱を含むものがある。ペロフスカイトは石英を含まない超塩基性岩,アルカリ岩などの副成分鉱物として産出する。
執筆者:津末 昭生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報