日本大百科全書(ニッポニカ)「酸化鉱物」の解説
酸化鉱物
さんかこうぶつ
oxide mineral
酸素と他の元素が化合した組成をもつ鉱物で、それがその鉱物の主体をなすもの。鉱物の系統分類による類の一つ。金属および半金属、一部の非金属の酸化物、複酸化物、水酸化物などが含まれる。金属などと酸素あるいはヒドロキシ基との比によって細分される。酸素との比では、2分の1(赤銅鉱)、4分の3(パラメラコナイトparamelaconite、化学式Cu1+2Cu2+2O3)、1(緑マンガン鉱)、3分の4(スピネル)、2分の3(赤鉄鉱)、2(石英)、3(モリブダイトmolybdite、化学式MoO3)、4(シュトゥット石studtite、化学式UO4・H2O(結晶水を除く))などの例があり、ヒドロキシ基については、比が2(ブルース石)および3(ギブス石)のものが存在する。成因的には、初生のものと既存の鉱物から二次的に生成されるものとがあり、重金属や半金属の酸化物の多くは後者に属し、またその大半は中性ないしアルカリ性条件下の産物である。初生の酸化鉱物のなかには、ケイ酸分と結合して安定なケイ酸塩をつくるものがあり(緑マンガン鉱、コランダムなど)、これらの生成に関しては、ケイ酸分に比較的乏しい環境が必要である。
用途として、鉱石(錫石(すずいし)・磁鉄鉱・赤鉄鉱・ギブス石・金紅石・閃(せん)ウラン鉱)、宝石(コランダム・金緑石)、研磨材(コランダム・スピネル)、化学工業用(乾電池用二酸化マンガン)などがあり、古くは顔料(赤鉄鉱)といったような用途もあった。
[加藤 昭 2016年9月16日]