日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョウセンブナ」の意味・わかりやすい解説
チョウセンブナ
ちょうせんぶな
round-tailed paradise fish
[学] Macropodus chinensis
硬骨魚綱スズキ目キノボリウオ亜目トウギョ科Belontiidaeに属する淡水魚。朝鮮西部、中国の揚子江(ようすこう)中流以北が原産地。日本には1914年(大正3)に朝鮮半島から移入され、一時は各地で増えたが、現在では減少し、山形県、新潟県、栃木県、および関東平野、濃尾平野、岡山県に分布する。流れの緩やかな小川、溝、沼池、水田に生息する。体は卵形で尾びれの先端は丸い。雄は体長6センチメートル、雌はそれよりやや小さい。鰓腔(さいこう)上部に迷器とよばれる空気呼吸ができる補助器官があるので、ぬらした紙に包めば輸送することができる。ほかのトウギョ科魚類同様、雄は泡を吹き上げて水面に浮き巣をつくり、卵や孵化(ふか)した稚魚の世話をする。産卵期は6、7月。中国では昔から喧嘩(けんか)をさせて賭博(とばく)に使った記録がある。
[中坊徹次]