チリグアノ(その他表記)Chiriguano

改訂新版 世界大百科事典 「チリグアノ」の意味・わかりやすい解説

チリグアノ
Chiriguano

ボリビアのアンデス東斜面からパラグアイ低地にかけて住むグアラニー系の焼畑農耕民。人口は不明。農耕技術はアンデス高地から獲得したと思われ,主たる作物トウモロコシ,カボチャ,マメ,無毒マニオクなどである。農耕技術のほかにも,織物土器などの物質文化,神話などにもアンデス高地文明と共通する要素が多い。いくつかの父系制リネージ集団から成る村落を形成し,勇敢雄弁,呪術的能力などの資質を有する首長により統率されていた。首長の権威は高く,その任務は争いの調停,犯罪の処罰祭礼のとりしきり,戦争の指導などであり,その代りに土地を他の人よりも多く所有し,そこでの労働を村人の奉仕によってまかなうことができた。だが得分の多くは権威を保つために,祭礼のときの食物や酒として分配された。

 近隣の村の首長どうしの間に権威,権力の違いがあって,一定地域の村落が1人の首長に統率される村落連合体を形成していることもあった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のチリグアノの言及

【グアラニー】より

…かつてのグアラニー族は,ラ・プラタ川の河口からウルグアイ,ブラジルの南海岸,そしてラ・プラタ川をさかのぼったパラグアイと,アルゼンチン,ブラジルの一部の広い範囲に住んでいた。また,グアラニー系のチリグアノ族は現在のボリビア領に入り,インカ帝国と戦った。このチリグアノ族も含めてグアラニー族ということがある。…

※「チリグアノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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