リネージ(その他表記)lineage

翻訳|lineage

デジタル大辞泉 「リネージ」の意味・読み・例文・類語

リネージ(lineage)

同一の出自によって共通祖先につながるという意識をもち、また互い系譜関係を明確に知っている人々によって構成される集団。父系・母系などの種類がある。リニエッジ。

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精選版 日本国語大辞典 「リネージ」の意味・読み・例文・類語

リネージ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] lineage ) 人類学用語成員のあいだに明確な系譜的結びつきが記憶されていて、出自を同じくする親族集団。しばしば、経済、法、宗教などの機能共同する。

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改訂新版 世界大百科事典 「リネージ」の意味・わかりやすい解説

リネージ
lineage

本来は〈血統〉を意味する言葉であるが,明確に認識された系譜関係にもとづいて,共通の祖先からたどられる出自をおなじくする親族集団もしくは社会集団をいう。通常,出自は単系的にたどられ,父系的にたどられる場合を〈父系リネージ〉と呼び,母系的にたどられる場合は〈母系リネージ〉と呼ぶ。多くは数世代以上の祖先が認識され,すべての成員はそれらの祖先の子孫たちであるという認識のもとに組織され,関係づけられている。また〈祖先崇拝〉を行っている社会では,その成員に死んだ祖先を含めるところもあり,あるいは現存成員であれ,死者であれ,配偶者を成員に含めるところもある。

 リネージのなかでは世代から世代へと,集団の成員権を伝えるばかりではなく,称号や財産権をも伝え,そうすることによって集団内の成員の権利義務を明確にし,また対外的には政治的・宗教的な単位として機能する場合が少なくない。リネージはまた,外婚の単位として,他のリネージとのなかば恒久的な通婚関係をもつことが多く,リネージ間の〈縁組alliance〉を締結している。

 大きなリネージになると,最大範囲のリネージから最小範囲のリネージまで,系譜の深度に応じて経済的・政治的・宗教的な機能を分化させたり,リネージ間に位階秩序rankingを設けるような例がみられる。その点でリネージは〈ラメージramage〉と呼ばれる出自集団と似ている。しかし〈ラメージ〉は,父方・母方のいずれの系譜をもたどりうる選択的な出自にもとづいた出自集団であるという点で,単系出自集団であるとされるリネージとは,組織内容がことなっている。またリネージは,実際の系譜関係にもとづいた出自を共有するという点で,出自を共有するとはいっても実際に系譜関係をたどることができない,仮定された神話的・伝説的な祖先のもとに集団ないしはカテゴリーを形成している〈氏族〉とは対比されるのが通例である。
氏族 →出自 →親族
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リネージ」の意味・わかりやすい解説

リネージ
りねーじ
lineage

系族とよばれることもあるが、単系出自集団のうち、共通の祖先と各成員の間の系譜関係がはっきりしているような集団をいう。リニージ、リニエッジともいう。リネージは、しばしば神話的な共通の始祖からの出自を認めるが、その始祖との系譜関係をはっきりとはたどれない、より包括的な出自集団であるクランあるいは氏族と用語上区別される。

[濱本 満]

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百科事典マイペディア 「リネージ」の意味・わかりやすい解説

リネージ

人類学用語としてのリネージは,父系出自か母系出自に基づく単系出自集団。一人の始祖からその子孫までの系譜関係を成員がはっきり認識している点で,具体的な系譜がより曖昧である氏族とは異なる。リネージは,成員間の相互扶助,紛争への参加,通婚の調停,葬式などを共同で行う単位であることが多い。外婚制をとることも普通で,リネージ間の通婚により広範囲な社会的連帯が可能となる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リネージ」の意味・わかりやすい解説

リネージ

「リニージ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のリネージの言及

【氏族】より

…したがってなんらかの成員意識があるかぎり,たとえば伝統的中国社会のように,同一の姓にもとづいて数千万の成員をかかえる氏族を構成することも可能である。このような性格をもつ〈氏族〉は,実際に系譜関係がたどれる集団であるところの〈リネージlineage〉とは区別して考えるのが通例である。 第2に〈氏族〉は,父または母を通じて出自をたどる〈単系的〉な出自集団である,とされる。…

【氏族】より

…したがってなんらかの成員意識があるかぎり,たとえば伝統的中国社会のように,同一の姓にもとづいて数千万の成員をかかえる氏族を構成することも可能である。このような性格をもつ〈氏族〉は,実際に系譜関係がたどれる集団であるところの〈リネージlineage〉とは区別して考えるのが通例である。 第2に〈氏族〉は,父または母を通じて出自をたどる〈単系的〉な出自集団である,とされる。…

【親族】より

…狭義の親族概念に姻族を含めるか否かという問題は,もはや古典的議論に属するが,概念の適用にあたっては今日でも一致をみないし,また親族と出自とを体系のうえで区別して考えるのか,それとも双方の概念は論理的な因果関係にあるのかについても,定義上の不一致はいまだにある。さらに広義の親族概念にいたっては,リネージ氏族その他の社会集団に対しても拡大して用いられ,他方,親族関係は財産関係,政治関係,儀礼的関係などとも同一視されてきた。親族概念を生んだ西欧社会とは異なり,多くの非西欧社会においては,親族の社会関係と認められるような関係もけっして親族固有の関係とはいえず,各社会がもっている固有の民俗概念のなかでそれぞれの社会関係が形成されており,それを親族関係として翻訳し分析することは,西欧社会の概念を押しつけることにもなり,誤解の生ずる危険が大いにありうることになる。…

※「リネージ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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