ちんと（読み）チント

デジタル大辞泉

ちん‐と

［副］
１ ととのっているさま。きちんと。
「家の様子も…―致しておりまする」〈紅葉・二人女房〉
２ とりすましたさま。つんと。
「奥様方は人形のように―冷すまして」〈魯庵・社会百面相〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ちん‐と

〘副〙

① 手早く行なうさまを表わす語。

※日葡辞書（1603‐04）「キルモノヲ chinto(チント) キル」

② ととのっているさまを表わす語。きちんと。端正に。

※滑稽本・東海道中膝栗毛（1802‐09）四「ほんにちんときらしておきましたに、ドリャ取てまいりしょかい」

③ とりすましたさまを表わす語。つんと。〔志不可起（1727）〕

※浮雲（1887‐89）〈二葉亭四迷〉三「お勢はくすくすと吹出したが、急に真地目になってちんと澄ます」

④ 世俗から離れて、孤独でいるさまを表わす語。

※日葡辞書（1603‐04）「Chinto(チント)シテイル」

⑤ ⇒ちん〔副〕

出典　精選版 日本国語大辞典