精選版 日本国語大辞典 「つくづく」の意味・読み・例文・類語
つく‐づく
- 〘 副詞 〙 ( 「つくつく」とも。動詞「つく(尽)」の終止形の重なったものか。「と」を伴って用いることもある )
- ① 精神を集中してその行為に没入するさまを表わす語。物思いに深く沈む時や、注意深く見聞きする時のさま。ひたすら。よくよく。じっと。
- [初出の実例]「姫君、ともかく物もの給はで、ただつくつくと泣き給へば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)
- 「今あの人が云はれる詞を、つくづく考へて見れば」(出典:歌舞伎・高麗大和皇白浪(1809)五立)
- ② 意欲や行動を伴わないで沈んだ気持でいるさまを表わす語。つくねんと。
- [初出の実例]「我が心地のさはやかにもならねば、つくつくと臥して、思ひ集むることぞあいなきまで多かるを」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- 「かくてのみもいかでかはつくつくと過ぐし給はむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
- ③ 心に深くしみこんで、しんみりとするありさまを表わす語。しんみりと。しみじみと。
- ④ 思考や感情についていい、主観的に動かしがたくなった、という気持を表わす語。心から。
- [初出の実例]「莚ふまへて蕎麦あふつみゆ〈松芳〉 つくつくと錦着る身のうとましく〈冬文〉」(出典:俳諧・曠野(1689)員外)
- 「世の中がツクツク厭になったなんて」(出典:火の柱(1904)〈木下尚江〉九)