テューリングテスト(その他表記)Turing test

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テューリングテスト」の意味・わかりやすい解説

テューリングテスト
Turing test

プログラム知能(→人工知能)を有しているといえるかどうかを判定するための思考上の検査法。イギリスの数学者アラン・M.テューリングが提唱した検査法は,テレタイプライタ(→テレタイプ)を用いて行なうものである。テレタイプライタの接続先は,別のテレタイプライタを使う人間,または検査対象となるプログラムのいずれかであるが,いずれであるかは判定を行なう人間(判定者)には告げられない。判定者は,テレタイプライタを用いて一連の文字を接続先に送信して,接続先から返送されてきた回答を読むというやりとりを繰り返し,接続先が人間か検査対象プログラムのいずれであるか区別することを求められる。一定割合の判定者が人間と区別することができない検査対象プログラムは,人間のような知能を有していると判定される。ジョセフ・ワイゼンバウムが開発した,精神科医のようにふるまう自由対話システム ELIZAはテューリングテストに合格する可能性が認められた最初のプログラムである。2014年6月,テューリングの没後 60年を記念してイギリスのロイヤル・ソサエティが開催したイベントでは,ロシア出身の研究者らが開発したスーパーコンピュータを使った検査対象プログラムが,13歳の少年という設定で実施した 5分間の会話で,33%の判定者が人間と判断し合格したと発表された。テューリングテストに合格したプログラムは知能をもっているようにふるまうといえるが,人間と同等の思考を行なっているといえるかどうかについては議論がある。ジョン・R.サールはみずからが考案した中国語の部屋という思考実験に基づき,テューリングテストに合格するだけでは,人間と同等の知能を有する強い人工知能(→強い人工知能,弱い人工知能)とはいえないと論じた。

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