テルパンドロス(読み)てるぱんどろす(英語表記)Terpandros

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テルパンドロス」の意味・わかりやすい解説

テルパンドロス
てるぱんどろす
Terpandros

生没年不詳。紀元前7世紀前半のギリシア詩人音楽家レスボス島に生まれる。アポロン崇拝の際のキタラ音楽を伴奏にした歌であるノモス形式を改革し完成したといわれる。彼の音楽はリディアの影響を受けており、音楽の調子にあわせて種々の感情を表現した。内容は叙事詩からとった物語を中心としている。スパルタでおもに活躍し、前676年のカルネイア祭に音楽部門で優勝した。詩は数行の断片以外残っていない。

[橋本隆夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テルパンドロス」の意味・わかりやすい解説

テルパンドロス
Terpandros

前7世紀中頃のギリシアの詩人,音楽家。レスボス島アンチッサの生れ。招かれてスパルタに移住し,スパルタ楽派を創始した。それまで用いられた四絃琴に代って七絃琴を導入し,アイオリス風およびボイオチア風の音階を発明したといわれる。また古くからアポロンの祭礼に歌われた賛歌の一種ノモスの形式を完成したほか,多くの種類抒情詩を作ったと伝えられる。

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世界大百科事典(旧版)内のテルパンドロスの言及

【ギリシア音楽】より

… 歴史的にみると,前8世紀ごろのホメロスの朗唱叙事詩にはキタラの伴奏による歌や踊りがすでにみられる。前7世紀にはスパルタが音楽の中心となり,テルパンドロスTerpandrosはキタラのノモイnomoi(旋律型)を定め,タレタスThalētasは音楽で少年たちを訓練したという。前6世紀になるとサカダスSakadasがデルフォイのピュティア祭でアポロンと竜との戦いをアウロスで演奏して優勝したが,これを標題音楽の初めとする考えもある。…

【ティモテオス】より

…イオニア,アッティカ,ドリス3方言の混合言語を用い,凝った複合形容詞を多用するなど,きわめて技巧的色彩の濃い詩風で,意味を解しがたい表現も少なくない。最後の部分は自分の詩が新奇な装いをもつことについての弁明の辞をつづっており,自分は古くは詩聖オルフェウス,近くは弦曲の祖テルパンドロスTerpandros(前7世紀中葉,レスボス島出身の詩人,音楽家)の流れをくむものであるという。詩人の自署sphragisで結ばれている。…

※「テルパンドロス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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