改訂新版 世界大百科事典 「デューリング線図」の意味・わかりやすい解説
デューリング線図 (デューリングせんず)
Dühring lines
物質の蒸気圧を推定するために作られた図。液体A,Bの圧力pにおける沸点をTA,TB,圧力p′における沸点をTA′,TB′とするとき,
(TA-TA′)/(TB-TB′)=一定
となることをU.デューリング(1878)は見いだした。この関係を使って,基準として選んだ液体Aと任意の液体Bとが同じ蒸気圧を示す温度をグラフの横軸,縦軸に配列すれば直線関係が得られることになり(図1),基準物質の蒸気圧のデータを添えておけば,任意の温度における液体Bの蒸気圧を算出することができる(図2)。化学的にあまり似ていない物質を基準にとると直線関係からずれることがあるので,基準物質の選び方が大切である。
執筆者:菅 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報