知恵蔵 「トイザらス」の解説
トイザらス
社名の「Toys“R”Us」は、「Toys are us」という言葉から生まれた。店名のロゴは「R」の文字が「Я」と反転している。これは、創業者のラザラスが、消費者に会社を身近に感じてもらえるよう、子どもたちがよく間違える「Я」の文字としたのが理由だ。これに合わせて、日本法人も、「ら」のみひらがなとなっている。
店舗では、おもちゃや子ども服、乳幼児用品などを扱う。おもちゃなどのメーカーから直接製品を仕入れて大量に販売する、という手法を用いて、品ぞろえの豊富さや、安さを強みに事業を拡大した。2005年に米投資ファンドのベインキャピタル、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、ボルネード・リアルティ・トラストのグループから66億ドルで買収されたことにより、非上場化した。その後は、米大手インターネット通販のアマゾン・ドット・コムなどによるおもちゃなどのネット販売の急伸や、子どもの遊びがおもちゃからスマートフォンゲームなどに移行してきたことから、徐々に業績が悪化した。17年9月時点で約50億ドル(約5500億円)の負債を抱え、18年に約4億ドル(約440億円)の返済期限が迫っていたことから、法的整理に踏み切った。破産法の対象は米国とカナダのみで、米トイザらスは、「店舗は通常通り営業を続ける」としているが、不採算店舗が閉鎖される可能性もある。
日本トイザらスは、1989年、米トイザらスと日本マクドナルドの合弁により設立された。91年、日本1号店を茨城県にオープンし、2017年9月現在、日本国内で約160店舗を営む。17年1月期の業績は、売上高約1405億円、営業利益約33億円と、10年の上場廃止以降、黒字が続いている。同社は米法人の連邦破産法11条適用申請を受け、「(日本法人は)財務再構築の対象外。日本の事業に直接の影響はない」としている。
(南 文枝 ライター/2017年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報