ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トゥピナンバ族」の意味・わかりやすい解説 トゥピナンバ族トゥピナンバぞくTupinambá ブラジル東海岸に住むラテンアメリカインディアンの一民族。言語はトゥピ諸語に属する。 16世紀頃には東海岸全域にわたり分布し,数多くの小規模な下位集団に分れていた。マニオク (キャッサバ) とトウモロコシの集約的農耕と漁業によって,南アメリカの熱帯雨林地帯では最大規模の村落社会を成立させた。集落の形態は独特で,それぞれ 30~60家族を収容する共同大家屋が中央広場を囲むようにして4~8軒建てられていた。また,近隣住民間の抗争が絶えず繰返されたので,集落全体は防御柵をめぐらせた。戦闘による捕虜は奴隷とされたのちに食人習俗を伴う儀式に供された。悪霊,幽霊が常に脅威であり,シャーマンは重要な役割を果した。祖先の文化英雄とされる雷神信仰をもち,それに導かれ「約束された父祖の地=楽園」を求めるメシアニズムがある。そのためか,トゥピナンバ族は広域にわたり移住を繰返していた。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by