キャッサバ(読み)きゃっさば(英語表記)cassava

翻訳|cassava

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャッサバ」の意味・わかりやすい解説

キャッサバ
きゃっさば
cassava
[学] Manihot

トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の低木イモノキタピオカノキ、マニホットノキ、マニオクともいう。古くから中南米栽培され、野生種は知られていない。ペルーでは4000年前、メキシコでは2000年前から栽培された。新大陸発見後、ポルトガル人によって世界の熱帯に伝えられ、広く熱帯、亜熱帯で栽培されている。主産地はナイジェリア、タイ、ブラジル、インドネシアガーナ、コンゴ民主共和国(旧、ザイール)の6か国で、世界の総生産量の59%を産出する。

 高さ5メートルに達するものもあるが、普通は2、3メートル。茎は節があり、植物体を傷つけると白色の乳液を出す。葉は掌状で5~7片に深く切れ込み、径10~30センチメートル、葉柄は5~30センチメートル。根は茎の基部から出た不定根が肥大し、ダリアの根のような塊根になる。塊根は太さ3~15センチメートル、長さ0.15~1メートルで、1株に5~10本つく。外側は白または淡褐色ないし濃褐色で、内部は普通は白で、赤や黄色のものもあり、デンプンを多く含む。多くの品種、系統があるが、苦味種と甘味種に大別される。苦味種はニガキャッサバM. esculenta Crantzで、いも青酸を含み、有毒である。デンプン製造に適し、多収で貯蔵性に富む。甘味種はアマキャッサバM. dulcis Bail.で、青酸が主として外皮に含まれ、毒性は少ない。いもはやや細くて小さく、苦味種よりも涼しい所での栽培に適している。

 熱帯では米に次ぐ主食とされ、煮たり、焼いたり、すりつぶして水洗いしたりして毒成分を除いたのち、パン状に焼くなどして食べる。デンプンをとるには、いもを搗(つ)き砕いて、竹製の籠(かご)に入れて加圧し、水を取り替えながら絞る。いもの乾燥粉からデンプン(タピオカと称する)を精製することもある。デンプンがまだ水を含んでいるうちに練り、小球状として軽く加熱して表面を半糊化(こか)させて製品とすることが多いが、これをタピオカパールといい、世界各地に輸出されている。

[星川清親 2020年6月23日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キャッサバ」の意味・わかりやすい解説

キャッサバ
Manihot utilissima; cassava

トウダイグサ科の常緑低木で,ブラジル原産。マニホットともいう。古くからアメリカインディアンが栽培していたが,現在では熱帯各地で栽培される。茎は2~4m,深く分裂した掌状葉を互生する。花は黄白色で雌雄同株。地下に長さ 50cmに達するサツマイモのような根茎があり,これからタピオカ (デンプン) をとり食用とし,また繊維の糊料に用いる。根茎はアメリカインディアンの主食で,ゆでてそのまま食用にする。

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