ドゥーフハルマ

精選版 日本国語大辞典 「ドゥーフハルマ」の意味・読み・例文・類語

ドゥーフハルマ

  1. [ 異表記 ] ズーフハルマ 蘭和辞典。オランダ人フランソア=ハルマ(François Halma)が出版した『蘭仏辞典』をもとに、ヘンドリク=ドゥーフが通辞の吉雄権之助らの協力で編纂したもの。文化一三年(一八一六)第一稿成立。文政二年(一八一九)浄書訂正本完成。刊行されず写本で伝わった。さきに稲村三伯らが作ったものを「江戸ハルマ」と呼ぶのに対して「長崎ハルマ」と呼ばれた。「道訳法児馬」「道訳波留馬」とも書く。

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改訂新版 世界大百科事典 「ドゥーフハルマ」の意味・わかりやすい解説

ドゥーフ・ハルマ

江戸時代後期に作られた蘭和辞典。《ズーフ・ハルマ》ともいう。長崎の出島に滞在したオランダ商館長H.ドゥーフがF.ハルマの蘭仏辞典によって,オランダ通詞たちを指導・督励して,1812年(文化9)編纂を開始。完成はドゥーフ帰国後の1833年(天保4)であった。清書1部は幕府に献上され,江戸の天文方と長崎奉行所に各1部備えられた。

 当時,最大・最良の蘭和辞典であったため,蘭学者間にさかんに転写・利用され,たよりにされたようすは,緒方洪庵の適塾の状況を述べた福沢諭吉自伝などに詳しい。写本で伝わったため冊数,本型は一定しないが,収録語数はおよそ5万語。稲村三伯によって作成された《ハルマ和解(わげ)》を《江戸ハルマ》と称したのに対して,本書は《道訳ハルマ》とも《長崎ハルマ》とも呼ばれる。のち幕府の医官桂川甫周によって改訂され,《和蘭字彙(オランダじい)》として,前編は1855年(安政2),後編は58年に完成し,江戸で出版された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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