ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ド・ジッターの宇宙」の意味・わかりやすい解説 ド・ジッターの宇宙ド・ジッターのうちゅうde Sitter's universe 宇宙は等方的で,かつ物質と放射とがまったく存在しないと仮定して,一般相対性理論の重力場の方程式の解として求められる静的な宇宙のモデルの一つ。1917年にウィレム・ド・ジッターが提唱した。このモデルでは宇宙の空間体積は無限大であり,ある一点から発した光は有限時間内には宇宙の地平線まで到達できない。また静止している銀河の光は赤方偏移を示し,波長のずれが銀河までの距離に比例するというハッブルの法則も導き出す点で,今日の膨張宇宙論の確立に貢献した。物質や放射をまったく含んでいない極限である点と静的宇宙である点とが観測事実と合わないため関心が遠のいたが,1980年以後インフレーション宇宙モデルと関連して,また宇宙項の重要性が再認識されるようになり,ド・ジッターの宇宙は再び注目されている。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by