宇宙項(読み)うちゅうこう(英語表記)cosmological term

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宇宙項
うちゅうこう
cosmological term

アルバート・アインシュタイン一般相対性理論重力場の方程式の解として得た仮想的な力を表す項。宇宙項は微小なため宇宙論以外は無視できる。この仮想的な力は物体の質量によらず,物体間の距離とともに増加する斥力で,宇宙斥力ともいう。この斥力と万有引力とを釣り合わせることによりアインシュタインの宇宙,ド・ジッターの宇宙など静的な宇宙モデルが得られた。しかし,アレクサンドル・フリードマンが宇宙項の導入なく動的な宇宙モデルを得て,アインシュタインは宇宙項を放棄した。近年,インフレーション宇宙論や宇宙の観測の進歩などに関連して,宇宙項の重要性が再認識されつつある。観測によってこの項に対応する宇宙モデルが検出され,ダークエネルギーとして再認識されている。宇宙全体を静止エネルギー換算ではかると,普通の物質が 5%,ダークマターが 25%,ダークエネルギーが 70%を占めている。

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知恵蔵の解説

宇宙項

宇宙定数」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉の解説

うちゅう‐こう〔ウチウ‐〕【宇宙項】

アインシュタイン一般相対性理論に基づく重力場の方程式に導入された項。1917年に、アインシュタインが膨張も収縮もしない静的な宇宙モデル(アインシュタイン宇宙)を得るために導入し、その係数は宇宙定数とよばれる。重力場方程式において、宇宙項は銀河などの引力によって宇宙がつぶれないよう、斥力としてはたらく。のちにハッブルらの観測によって膨張宇宙説が正しいことがわかり、アインシュタイン自ら宇宙項の導入について誤りを認めた。近年、超新星宇宙背景放射の詳細な観測から、宇宙が加速的に膨張していることが明らかになり、再び宇宙項の存在が支持されている。この斥力(負の圧力)の源は暗黒エネルギーとよばれているが、その正体はわかっていない。

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