一般相対性理論(読み)イッパンソウタイセイリロン

デジタル大辞泉 「一般相対性理論」の意味・読み・例文・類語

いっぱん‐そうたいせいりろん〔‐サウタイセイリロン〕【一般相対性理論】

相対性原理を、加速度座標系ももつ一般の運動にまで拡張した理論。一般相対論。→相対性理論

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精選版 日本国語大辞典 「一般相対性理論」の意味・読み・例文・類語

いっぱん‐そうたいせいりろん‥サウタイセイリロン【一般相対性理論】

  1. 〘 名詞 〙 アインシュタインが「相対性原理」に基づいて展開した理論の一つ。慣性に対する質量と重力質量が同じであるとする「等価の原理」を出発点にして、加速度運動に対しても相対性が成立することを仮定した。重力理論としても重要視される。⇔特殊相対性理論。→相対性原理

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「一般相対性理論」の意味・わかりやすい解説

一般相対性理論
いっぱんそうたいせいりろん

アインシュタインが1915年から1916年にかけて完成した、時間・空間に関する理論であり、同時にそれは重力の相対論的理論ともなっている。1905年にアインシュタインによりみいだされた相対性理論は、互いに等速運動(速度の大きさおよび方向が時間的に変化しない運動)している座標系が物理法則を記述するうえで対等であることを明らかにしている。この場合には、等速運動という「特殊な運動」に対する相対性理論なので特殊相対性理論ともよばれる。それに対して、座標系間の一般の運動に対して相対性理論を拡張したのが、一般相対性理論である。この理論は、重力と慣性力を同一のものとみなす等価原理を物理的基礎とし、座標系の一般的変換に対する共変性という数学的要請により完成した。現在この理論は、宇宙における重力の相対論的効果の解明に役だっているほか、ゲージ理論による素粒子相互作用統一理論統一場理論)探究にも大事な役割を果たしている。

佐藤文隆

『S・ギビリスコ著、小島英夫訳『図説 アインシュタインの相対性理論――特殊および一般相対性理論と宇宙論』(1989・大竹出版)』『冨田憲二著『相対性理論』(1990・丸善)』『アルバート・アインシュタイン著、金子務訳『特殊および一般相対性理論について』(1991・白揚社)』『マーティン・ガードナー著、金子務訳『相対性理論が驚異的によくわかる』改訂新版(1992・白揚社)』『砂川重信著『相対性理論の考え方』(1993・岩波書店)』『エルンスト・カッシーラー著、山本義隆訳・解説『アインシュタインの相対性理論』改訂新装版(1996・河出書房新社)』『松田卓也・二間瀬敏史著『なっとくする相対性理論』(1996・講談社)』『小玉英雄著『相対性理論』(1997・培風館)』『佐藤文隆・小玉英雄著『一般相対性理論』(2000・岩波書店)』『窪田高弘・佐々木隆著『相対性理論』(2001・裳華房)』『佐藤勝彦監修『図解 相対性理論がみるみるわかる本』(2003・PHP研究所)』『A・アインシュタイン著、内山龍雄訳『相対性理論』(岩波文庫)』

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百科事典マイペディア 「一般相対性理論」の意味・わかりやすい解説

一般相対性理論【いっぱんそうたいせいりろん】

1916年アインシュタインがたてた現代物理学の基礎理論。慣性座標系に限られた特殊相対性原理特殊相対性理論)を互いに加速度運動を行う一般座標系にも拡張した一般相対性原理(あらゆる座標系に対しすべての物理法則は同じ形で表される)と,等価原理を基礎に,リーマン空間の幾何学を用いて理論を展開,重力場を物質のまわりに生じた時・空間のひずみとして表現した。この理論から,水星の近日点の移動,太陽のすぐそばを通る光線が曲がること(アインシュタイン効果),質量の大きい恒星からくる光の波長が伸びること(赤方偏移)などが導かれ,実測と大体一致した。また宇宙論の発展にも寄与。
→関連項目アインシュタイン塔インフェルトエトベシュグラビトン時間(物理)質量重力波相対性理論測地線統一場理論万有引力

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一般相対性理論」の意味・わかりやすい解説

一般相対性理論
いっぱんそうたいせいりろん
general theory of relativity

任意の座標系において物理法則は同形でなければならないという一般相対性原理(→相対性原理。一般共変性原理ともいう)と,慣性質量重力質量とは等価であるという等価原理とに基づいた時空の理論。1914~16年アルバート・アインシュタインにより,特殊相対性理論を発展させた重力理論として提唱された。この理論では,重力は質量をもつ物体により周辺の時空に生じたひずみが生み出す物理的効果として表現される。アインシュタインは,一般相対性理論とアイザック・ニュートン万有引力の法則の差として,水星近日点の移動(→近日点移動),太陽の近くを通る光線の曲がり,そして重力を受けている光源が出す光のスペクトル赤方偏移を測定することを提案したが,測定値はほぼ理論値と一致することが示された。今日では進んだ実験技術を用いて,さらに精密に実証されている。さらに,ニュートンの法則からは考えられなかった,宇宙の膨張ブラックホール重力波の存在などの新しい現象も予測された。これらもすべて実証され,特に宇宙の膨張は新しい宇宙論をもたらした。一般相対性理論とは重力場の古典理論とみなせる。物理学の発展という観点からみれば,これを量子理論に格上げしなければならないが,超弦理論などの多くの試みにもかかわらず,まだ成功はしていない。また,古典理論としての重力理論についても,一般相対性理論を発展させた,スカラー・テンソル理論,高次元理論,高階微分理論,超重力理論など,多くの可能性が議論されている。

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知恵蔵 「一般相対性理論」の解説

一般相対性理論

物理法則は、互いに加速度運動する系の間でも同じ形の数式で表せる、とする理論体系。A.アインシュタインが1916年に完成させた。物質の周りの重力場と時空のゆがみを関係づける。重力方程式の解として得られる計量テンソルは、重力場と時空の様子を表す。重力質量と慣性質量が合致し、重力は遠心力など見かけの力と同一視できるという等価原理が核心にある。物体の運動は、時空内で世界線と呼ばれる軌跡を描くが、これは時空のゆがみに左右される。この理論は、光が太陽の重力で曲がる現象などで裏づけられた。遠くの天体がダブって見える重力レンズ現象なども説明できる。今日の宇宙論の主柱。米航空宇宙局(NASA)などは2004年、時空のゆがみを探る衛星GP‐Bを打ち上げた。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

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改訂新版 世界大百科事典 「一般相対性理論」の意味・わかりやすい解説

一般相対性理論 (いっぱんそうたいせいりろん)

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世界大百科事典(旧版)内の一般相対性理論の言及

【アインシュタイン】より

…14年春にはM.プランクやH.W.ネルンストのきもいりで,プロイセン科学アカデミー正会員,カイザー・ウィルヘルム研究所の物理学部長としてベルリンに招かれた。15年,一般相対性理論を完成,その理論からの帰結の一つである重力場による光線の屈曲現象が,第1次世界大戦後まもなく(1919),イギリスの日食観測隊によって確かめられたことによって,アインシュタインと相対性理論の名は世界的に爆発的に知られるようになった。数理物理学への功績,とくに光電効果の法則の発見に対して,21年度ノーベル物理学賞を受けた。…

【相対性理論】より

…これがアインシュタインをして現代でももっとも魅力ある物理学者の一人たらしめている原因であろう。ここではまず座標変換,慣性系など,相対性理論の理解のための予備知識の説明から始め,次いで特殊相対性理論,一般相対性理論について概説したい。アインシュタイン
【運動の相対性と座標変換】
 およそ運動とは,すべて,〈何か〉に対する運動として記述される。…

※「一般相対性理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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