ドルジッチ(その他表記)Marin Držić

改訂新版 世界大百科事典 「ドルジッチ」の意味・わかりやすい解説

ドルジッチ
Marin Držić
生没年:1505-67

ユーゴスラビア劇作家ドゥブロブニクの生れ。シエナ教会法を学び,後に学寮長,副学長まで務めるが,短気が災いして辞する。初めペトラルカ風の詩作をするがうまくゆかず,牧歌的な劇作,とりわけ喜劇に転じて大成功をおさめた。代表作《マロエ叔父さん》(1551初演)は,吝嗇(りんしよく)家の父と放蕩息子が家僕や女中の機知に翻弄されるという楽しいもので,これは今日でもしばしば上演されている。晩年失意のうちにベネチアで没した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のドルジッチの言及

【ドゥブロブニク】より

…貴族層がイタリア語,ラテン語を常用していたこともあって,同時代のイタリア文学から圧倒的な影響を受けていた。やがて平民ドルジッチMarin Držić(1508‐67)はクロアチア語で喜劇《マロエ叔父さん》(1551初演)を書き,独自の文学を生み,貴族グンドゥリッチはスラブ人の対オスマン・トルコ戦争を叙事詩《オスマン》(未完)に再現した。18世紀はそれでも海上貿易が復興の兆しを見せた。…

【ユーゴスラビア】より

…15世紀にはペトラルカなどイタリア人作家の影響を受けて,詩歌,戯曲,散文に新しい傾向の作品が生まれた。16世紀に入るとドゥブロブニクを中心にスプリト,サダル,シベニク,フバル島などの海岸都市にルネサンス文学が花開き,マルリッチMarko Marulić(1450-1524),ルツィチHanibal Lucić(1485?-1553),ドルジッチらが輩出した。しかし,ドゥブロブニク文学は17世紀のグンドゥリッチで頂点に達し,その後衰弱した。…

※「ドルジッチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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