改訂新版 世界大百科事典 「ドーザ」の意味・わかりやすい解説
ドーザ
Albert Dauzat
生没年:1877-1955
フランスの言語学者。北フランス・南フランス言語境界線上にある町ゲレに生まれた。パリ大学で法律を専攻すると同時に語源学者A.トマの講義も聴き,エコール・プラティーク・デ・オートゼチュード(高等研究院)でG.パリス,J.ジリエロン,P.パッシーらにフランス語学も学んだ。1896年文学士,99年法学博士,1906年には《ロマンス諸語,ロマンス諸方言における方法論試論》で文学博士となった。大学卒業後,新聞社に勤めスイス,ベルギー,スペイン,イタリアを歴訪した。10年高等研究院のパッシーの講座で講義を始め,21年同院正教授となり言語地理学を没年まで講義した。33年にはフランス語学研究誌《フランセ・モデルヌ》を,47年には地名・人名研究誌《オノマスティカ》を創刊している。関心も視野も広く,早くから言語学者ギヨームGustave Guillaume(1883-1960)の才能を認め,《フランセ・モデルヌ》に書かせたりした。その著《言語地理学》はジリエロンの言語地理学の優れた啓蒙書である。地名研究,人名研究のほか,フランス語についての多くの優れた啓蒙書も書いている。
執筆者:松原 秀一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報