日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナカムラギンメ」の意味・わかりやすい解説
ナカムラギンメ
なかむらぎんめ / 中村銀目
spinyfin
[学] Diretmichthys parini
硬骨魚綱キンメダイ目ナカムラギンメ科に属する海水魚。北海道、東北地方沖、相模湾(さがみわん)、東シナ海、西・中部太平洋、インド洋、大西洋の温・熱帯域に広く分布する。体はタイ形で、体高が高くて側扁(そくへん)する。口は大きくて斜めに開き、下顎(かがく)は上顎よりも突出し、前端縫合部に前方に向かう骨質の突起がある。両顎歯は小さく、歯帯を形成する。上顎の前端に歯がない。側線はない。背びれと臀(しり)びれの鰭条(きじょう)は扁平(へんぺい)で、その側縁に多数の棘(とげ)が並び、基部の1本は強大。背びれと臀びれの基底は長く、それに沿って小さな円形の穴が窓状にあいている。尾びれは二叉(にさ)する。体色は一様に真黒色。水深200～2300メートルにすむ。体長30センチメートルに達する。トロール網で漁獲されるが、まとまってとれない。本科は側線がないことでキンメダイ目の他科魚類と区別できる。本科のほかの2種のチゴナカムラギンメDiretmoides pauciradiatusとツバサナカムラギンメD. veriginaeとは背びれと臀びれの基部に強い棘があることで異なる。和名は、日本で初めての採集者である中村捷(ちかし)（当時の宮城県水産試験場気仙沼(けせんぬま)分場長）にちなんだものである。
［岡村 收・尼岡邦夫 2016年6月20日］
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