日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナガレンコ」の意味・わかりやすい解説
ナガレンコ
ながれんこ / 長連子
carpenter seabream
carpenter
silver fish
[学] Argyrozona argyrozona
硬骨魚綱スズキ目タイ科キダイ亜科に属する海水魚。南アフリカのクワズールー・ナタールからケープ・タウン付近の沿岸だけに分布する。体は長楕円(ちょうだえん)形。体高は低く、およそ頭長に等しい。体はわずかに側扁(そくへん)する。口裂は斜位で大きい。下顎(かがく)前端はわずかに突出する。上顎の後端は目の前縁下方に達する。両顎前部にそれぞれ2対の犬歯があり、外側の1対は内側の1対より小さい。両顎の側部には1列の円錐歯(えんすいし)が並ぶ。両鼻孔(びこう)はかなり接近する。眼隔域(左右の目の間隔域)に鱗(うろこ)がある。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の外縁に鱗がない。最大全長は約80センチメートルで、30年ほど生きる。体は桃赤色で、各ひれも赤色。体側に数条の鮮赤色縦帯が平行に走る。水深50~200メートルの大陸棚に生息する底層遊泳魚である。幼魚は水深10~40メートルにすみ、成熟すると沖合いへ移動する。春~夏にかけてケープ・タウン近くで産卵する。成魚はイカ類、イワシ類を食べるが、幼魚は小形の甲殻類、多毛類などを食べる。多くは回遊をしないが、100キロメートルの回遊の記録がある。底引網などで漁獲される。南アフリカでは重要な食用魚で、ときには日本に輸入され、ナガシマダイの商品名で流通している。近縁種にセナガキダイ、ヨーロッパキダイやキダイなどがある。
[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年7月19日]