ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナハイヤン」の意味・わかりやすい解説
ナハイヤン
Nahyān, Sheikh Zāyed ibn Sulṭān Āl-
[没]2004.11.2. アブダビ
アラブ首長国連邦 UAEの政治家。アブダビ首長(1966~2004),UAE大統領(1971~2004)。UAEを近代化し,この地域における最も豊かな国の一つにしたと評価される。砂漠の遊牧民として育ち,アブダビ東部州知事(1946~66)を務めたのち,兄のシャクブット・ビン・スルタンを退陣させアブダビ首長の座についた。19世紀にイギリスが休戦条約を結んだ湾岸の首長国からなるトルーシアルステーツを建設した中心的人物で,1971年 UAEに改称された際に大統領に就任した。1973年には UAEの連邦構成を改変し,アブダビの閣僚の大部分を連邦内閣に入閣させた。1976年からの大統領 2期目には各首長国軍の統合や,各首長国からの予算分担金の増額など,さらに改革を進めた。首長および大統領としての最大の関心は,石油収入を利用して連邦内および国際社会の生活水準を向上させることにあった。1977年に新内閣が発足した際,各首長国の利害に配慮することより既存の有能な官僚を活用する方針を掲げ,連邦構成のいっそうの強化をはかった。2001年まで再選され続けたナハイヤン統治下で UAEは世界有数の金融の中心地となり,男女平等の政策も推進された。また著名な外交家としても,欧米諸国との関係改善に尽力した。
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