日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナビスター」の意味・わかりやすい解説
ナビスター
なびすたー
Navistar International Corp.
北アメリカ最大の中型・大型トラックメーカー。本社はシカゴ。アメリカ農業の始祖とよばれるサイラス・マコーミックCyrus Hall McCormick(1809―1884)が発明した自動刈取機(バインダー)を生産・販売する会社として1918年に創立されたインターナショナル・ハーベスター(略称IH)が前身。同社は1902年、当時の農業機械産業を支配していたマコーミック・ハーベスター・マシン社、ディーアリング社、ワーダー・ブッシュネル・アンド・グレスナー社、プラノ・マニュファクチュアリング社、ミルウォーキー・ハーベスター社が合併したのち、インターナショナル・ハーベスター・コーポレーションとして創立され、1918年にデラウェア州で設立された同名のインターナショナル・ハーベスター・コーポレーションと合併の結果、誕生した。1966年、インターナショナル・ハーベスター・カンパニーと社名を変更した。インターナショナル・ハーベスターは、1960年代には農業機械・建設機械で圧倒的な市場シェアを占め、そのほかにもスクールバス、トラックなどを生産した。1980年代を迎えると、同社は外国とくに日本とドイツの同業メーカーの追い上げにあい経営危機に陥った。1985年には農業機械部門を売却。翌年1月に農業機械メーカーから輸送機器メーカーへの脱皮を図るべく現社名ナビスター・インターナショナルに改称した。
ナビスターの中型・大型トラックの北米市場におけるシェアは約28%、スクールバスのシャーシ(車台)でも国内大手である。しかし、1980年代以降の業績悪化に対処するため、同社は工場の移転などのトラック製造過程の合理化を進め、さらにメキシコに新工場を建設しトラック生産を行うことになった。同社はまた、完全所有の金融子会社によって製品販売金融業を営んでいる。こうした戦略は、いずれも北アメリカにおけるトラック市場の需要低迷によるものであった。1998年の売上高は78億8500万ドル、純利益2億9900万ドル。売上構成は大型トラック38%、スクールバスを含む中型トラック33%、エンジン15%、自動車部品11%、金融サービスからの収益3%。
[萩原伸次郎]
その後の動き
2004年、軍用車両分野に参入。2005年、インドのマヒンドラMahindraグループと合弁企業を立ち上げ、インド国内でトラックの製造・販売に着手。また、2008年にアメリカのキャタピラー社と中・大型車の共同開発、新興国などアメリカ以外での販売について業務提携している。ナビスター社の2008年度の売上高は147億2400万ドル、純利益1億3400万ドル。売上構成はトラック65.3%、エンジン20.6%、自動車部品11.5%、金融サービスからの収益2.6%。従業員数1万7800人。
[編集部]