キャタピラー(読み)きゃたぴらー(英語表記)Caterpillar Inc.

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャタピラー」の意味・わかりやすい解説

キャタピラー(アメリカの土木機械メーカー)
きゃたぴらー
Caterpillar Inc.

アメリカ最大の土木機械メーカー。1925年、カリフォルニア州において、C・L・ベスト・トラクター会社とホルト・マニュファクチュアリング会社が合併してキャタピラー・トラクターCaterpillar Tractor Co.社が設立された。1986年、社名をキャタピラーに変更。建設用機械、鉱業用機械、農業機械が同社の主力製品であるが、トラック、船、機関車、建設・鉱業・農業設備などのエンジン、発電用エンジンにも力をいれている。こうした製品の購入にあたる顧客への融資やローンなどを扱うキャタピラー金融サービスをもち、世界的な製品販売の一助となっている。

 1990年代に入ると、アメリカ経済の好調による輸出の伸びとともに国内でも売上げを伸ばした。1997年の営業成績は70年以上におよぶ同社の歴史において記念すべきものであり、売上高は189億3000万ドル、利益は16億7000万ドルであった。もともとアメリカ輸出産業の主力企業の一つであったが、ヨーロッパラテンアメリカカナダをはじめとする輸出売上高61億2000万ドルは過去最高であった。1999年の売上構成は機械設備59%、エンジン35%、金融サービス6%。

 日本では、1963年(昭和38)に三菱重工業との折半合弁でキャタピラー三菱を設立した。1987年には新キャタピラー三菱として再発足したが、2008年(平成20)にキャタピラー社が株式過半数を取得したのに伴い、社名をキャタピラージャパンとした。

[萩原伸次郎]

 2008年度の売上高は480億4400万ドル、純利益35億5700万ドル。従業員数は10万6518人。

[編集部]


キャタピラー(無限軌道)
きゃたぴらー
caterpillar

鋼板鎖状に連結し、二つの車輪にベルト状に掛けた無限軌道のこと。caterpillarとは、本来「毛虫」「いも虫」の意であるが、現在は商品名となっている。農業用・土木用車両、あるいは雪上車などに使用されている。また戦車装甲車など軍事用にも使用される。キャタピラーは車輪に比べて接地面積が大きく、摩擦も大きいので、キャタピラーを取り付けた車両は、凹凸の多い道路、湿地帯などでも容易に走ることができる。走行方向を変えるときは、左右のキャタピラーの回転速度を変えることによって行う。また回転半径も大小に変えることができ、さらに左右のキャタピラーの回転を逆方向にすると、車両の中心はまったく動かず旋回するなどの動作も行える。

[中山秀太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キャタピラー」の意味・わかりやすい解説

キャタピラー
Caterpillar Inc.

アメリカ合衆国の建設機械メーカー。1925年農業用トラクタメーカー,ホルト・マニュファクチュアリングと C.L.ベスト・トラクタが合併し,キャタピラ・トラクタとして設立。1986年現社名となる。当初は農業機械メーカーとして出発したが,1920年代後半の農業恐慌以降,農業機械に見切りをつけ,建設機械メーカーに転換,以後成長を続けた。第2次世界大戦中は軍事基地建設で活躍。戦後は海外進出を積極的に展開し,ヨーロッパ,カナダ,ブラジル,オーストラリアなどに子会社,工場をもち,日本には合弁会社キャタピラージャパンがある。事業内容は油圧ショベル,ブルドーザ,ローダ,ダンプトラックなどの土木・建設機械と関連部品,ディーゼル・エンジンなどの生産および販売。

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