デジタル大辞泉
「なまし」の意味・読み・例文・類語
な◦まし
[連語]《完了の助動詞「ぬ」の未然形+推量の助動詞「まし」》
1 (多く上の仮定表現を受けて)きっと…していただろう。
「白玉か何ぞと人の問ひし時露と答へて消え―◦ましものを」〈伊勢・六〉
2 (上の疑問の語を受けて)…してしまおうかしら。いっそのこと…しようか。
「幼き御ありさまのうしろめたさにことつけて、下りやし―◦ましと、かねてよりおぼしけり」〈源・葵〉
3 きっと…だろう。…てしまうかもしれない。
「けふ来ずはあすは雪とぞ降り―◦まし消えずはありとも花と見ましや」〈古今・春上〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
な‐・まし
(完了の助動詞「ぬ」の未然形に推量の助動詞「まし」の付いたもの)
(イ) …てしまうだろう。
※古今(905‐914)春上・六三「けふ来ずはあすは雪とぞ降りなまし消えずは有りとも花と見ましや〈
在原業平〉」
(ロ) (多く疑問の語を受けて)
決断に迷いながらも未来を考える
気持を表わす。…してしまおうか。…するのがいいのではあるまいか。
※古今(905‐914)雑下・九五四「世中のうけくにあきぬ
奥山のこの葉に降れるゆきやけなまし〈よみ人しらず〉」
②
(イ)
現実には反するが、条件によっては実現の可能性のあることを想像して表わす。…のだったら…することだったろう。
※
万葉(8C後)九・一七四六「遠妻し高にありせば知らずとも
手綱の浜の尋ね来名益
(ナまし)」
(ロ) 実現・実行しなかったことを残念に思う気持を表わす。…すればよかったろう。
※万葉(8C後)一四・三三五四「寸戸人
(きへひと)のまだら衾に綿さはだ入り奈麻之
(ナマシ)もの妹が
小床に」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報