なりけり

精選版 日本国語大辞典 「なりけり」の意味・読み・例文・類語

なり‐・けり

[1] (断定助動詞「なり」の連用形過去の助動詞「けり」の付いたもの)
① 物語として、過去の事柄に関する断定を表わす。
(イ) …に在った。
伊勢物語(10C前)三九「おほん葬(はぶり)の夜、その宮の隣なりける男、御葬見むとて」
(ロ) …であった。
源氏(1001‐14頃)桐壺「もとの木立山のたたずまひおもしろき所なりけるを」
② (多く終止法で) 気がついてみれば…であった、…であったのだなあなどの詠嘆の意を表わす。
万葉(8C後)一八・四〇七八「恋ふといふはえも名づけたり云ふすべのたづきも無きは吾が身奈里家利(ナリケリ)
[2] (近世用法) 「それなりけり」の意。そのまま。
※浄瑠璃・敵討御未刻太鼓(1727)馬揃へ「マア一寸延れば尋のびると、なりけりにして置たが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「なりけり」の意味・読み・例文・類語

なり◦けり

[連語]《断定の助動詞「なり」の連用形+過去の助動詞「けり」》…であった。…であったという。…であったよ。
春風の花を散らすと見る夢はさめても胸のさわぐ―◦けり」〈山家集・上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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