馬揃(読み)うまぞろえ

精選版 日本国語大辞典 「馬揃」の意味・読み・例文・類語

うま‐ぞろえ‥ぞろへ【馬揃】

  1. 〘 名詞 〙 良馬飼育奨励兵馬訓練のため、平時軍馬を集めて検分し、あわせてその調練を検閲すること。簡馬(かんば)
    1. [初出の実例]「今日於京都馬揃在之云々。諸国見物衆数多上」(出典多聞院日記‐天正九年(1581)二月二八日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「馬揃」の意味・わかりやすい解説

馬揃
うまぞろえ

兵馬を集め、集団として、その良否、調練、装備のようすを観閲すること。駿馬(しゅんめ)に華麗な馬装をつけ、軍装をこらした武士の参集する軍事調練・威武の行事。

 古く1147年(久安3)の白河院による警固の武者閲兵の記録がある。中世軍記物語『源平盛衰記』に兵馬汰(へいばぞろえ)の語がみえ、室町時代の幸若(こうわか)舞曲に、頼朝(よりとも)挙兵の際の兵馬集合を「馬揃」と名づけている。『日葡(にっぽ)辞書』では、騎馬軍勢の集合、騎馬隊編成と解説する。おそらく中世末ごろから一般化した語と思われる。時代的にも集団戦が大掛りとなり、機動力や軍団の組織的運営が必要となったことから普及した、軍事的行事であろう。『醒睡笑(せいすいしょう)』に「金銀を使いすてたる馬揃」とあるように、華麗を競った。1581年(天正9)の織田信長が支配領域全体を対象として行った大規模な馬揃はことに有名である。

[齋藤愼一]

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世界大百科事典(旧版)内の馬揃の言及

【馬場】より

…各地に残る馬場という名には,この牧に由来するものもあると考えられる。また中世武士団の拠点となる広大な豪族の館の中にも必ず馬場があり,戦闘の際の馬揃(うまぞろえ)(勢汰(せいぞろえ))もここで行われた。騎射は犬追物(いぬおうもの),流鏑馬(やぶさめ),笠懸(かさがけ)などの形で中世武士にうけつがれ,そのための馬場も作られている。…

※「馬揃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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