ニオイスミレ(読み)ニオイスミレ(その他表記)Viola odorata; sweet violet

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニオイスミレ」の意味・わかりやすい解説

ニオイスミレ(匂菫)
ニオイスミレ
Viola odorata; sweet violet

スミレ科の多年草。ヨーロッパ,北アフリカ,西アジアに野生種が分布し,日本では観賞用として栽培されているスミレの1種で,園芸界で単にバイオレットというと本種をさすのが普通である。地下茎から匍匐する枝を出して繁殖する。心臓形で細毛のある葉を長い柄で根生する。春に,葉の間から数本の花柄を出し,各先端に左右相称紫色の花をつける。花には甘い香りがあり,花色よりもこの香りが観賞される。八重咲きのものや花色の変化したものなど園芸品種が多い。全草にビオリンというアルカロイドを含み,鎮咳および鎮静民間薬としても用いられる。

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百科事典マイペディア 「ニオイスミレ」の意味・わかりやすい解説

ニオイスミレ

バイオレットとも。南欧〜西アジアに分布するスミレ科の多年草。草たけ15cm内外で,葉は濃緑色ハート形。花は芳香があり濃紫〜淡紫,桃,白色で,八重咲もある。ふつうに見られる園芸品種のラ・フランスにはほとんどかおりがない。切花鉢植向き,株分け,根伏せでふやす。
→関連項目スミレ

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世界大百科事典(旧版)内のニオイスミレの言及

【スミレ】より

… スミレ属の種はかわいらしく,多くが山草的に栽植される。またニオイスミレV.odorata L.(英名sweet violet,この園芸品種がバイオレットとよばれる)はヨーロッパから西アジア原産であるが,芳香のある濃紫色の花は観賞のため庭園や花壇に植えられ,ときには野生化している。花からは香水がつくられる。…

【バイオレット】より

…ヨーロッパおよび北アフリカの地中海沿岸地方原産のスミレ科の多年草(イラスト)。和名ニオイスミレ。花によい香りがあるため,古くからヨーロッパでは,香りの花として親しまれており,種小名odorataも〈香りのある〉という意味である。…

※「ニオイスミレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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