バイオレット(読み)ばいおれっと(英語表記)sweet violet

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイオレット」の意味・わかりやすい解説

バイオレット
ばいおれっと
sweet violet
[学] Viola odorata L.

スミレ科(APG分類:スミレ科)の多年草ニオイスミレともいう。高さ10~15センチメートル。葉は根際(ねぎわ)から生え、心臓形で鋸歯(きょし)があり、葉柄は長い。株元から1本ずつ花茎を出し、芳香の強い紫色花を開く。園芸種には桃、白、淡青色花もあり、八重咲き種もある。暖地では11月から咲き始め3月が最盛期になる。ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産で、観賞用として花壇や鉢に植えるほか、切り花とする。香水の材料としても有名である。繁殖は、花期後に分枝した匍匐(ほふく)枝を株分けして、日当りのよい暖所に植える。夏季の乾燥と強光線に弱く、ハダニによる被害も多いので、注意が必要である。

[神田敬二 2020年7月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイオレット」の意味・わかりやすい解説

バイオレット
violet leaves absolute

南フランスのグラース周辺で栽培されるニオイスミレ Viola odorataの葉から溶剤抽出法により得られる固溶体で,強いグリーンノート (緑の香り) をもつ有用な天然香料。補香剤としてすみれ香調の香料などに調合され,香粧品石鹸などの香料に用いられるほか,特殊なフレグランス製品に利用される。なお近年,天然香料のすみれ花香は価格や人気の点から姿を消し,そのほとんどが合成香料 (すみれ香調) になっている。

バイオレット
violet

スミレ属 Viola全体をさす英名であるが,特に観賞用に栽培されるニオイスミレ (匂菫)をさすことが多い。園芸品種が多く,香水原料としても特に南ヨーロッパで栽培されている。 (→スミレ〈菫〉 )

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