アフリカ大陸北部のサハラ砂漠より北の地域をいう。夏季に少雨があるだけの乾燥気候のもとにあるため、外来河川のナイル川を除いて大河がなく、地中海式気候、ステップ気候を示す沿岸部と、砂漠のオアシスにのみ人間が居住する。古代にローマなど地中海北岸の諸国家の支配を受けたため植民都市の遺跡が各地に残存する。また7世紀以後東からのアラブ人の侵入が大きな影響を与え、住民はイスラム教を信仰し、アラビア語を話し、一部の者を除いて、混血によりアラブ人化している。大部分の住民が非黒人種であるアラブ人であることから、北アフリカを「白いアフリカ」ということもある。また言語、宗教、文化の同一性から北アフリカを中近東域に包含する分類もある。しかし北アフリカは地中海世界、アラブ・イスラム世界に属するとともに、古くからサハラ砂漠以南のアフリカと交易関係をもち、国民のなかに黒人種がいる国もあり、砂漠化防止などで協力しあう関係にあり、やはりアフリカ世界の一員である。北アフリカに国土をもつ国々は、東からエジプト、スーダン、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、モーリタニアの7か国である。いずれも19世紀から20世紀にかけてヨーロッパ諸国の実質的な植民地となったため、東部はイギリス、西部はフランスの影響が強く残っている。独立後、王制をとっているのはモロッコだけである。石油など地下資源に恵まれた国は所得も高く工業化を進めているが、資源がなく農牧業に頼る国は貧困である。
[藤井宏志]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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