ニガクサ(読み)にがくさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニガクサ」の意味・わかりやすい解説

ニガクサ
にがくさ / 苦草
[学] Teucrium japonicum Houtt.

シソ科(APG分類:シソ科)の多年草。茎は四角形で高さ30~50センチメートル、細長い地下茎を出す。葉は対生し、長楕円(ちょうだえん)状披針(ひしん)形で長さ5~10センチメートル、短い柄がある。7~9月、茎の上部に細長い花穂をつくり、淡紅色の唇形花を開く。花冠は下側の裂片だけが舌状に大きく伸びて、長さ約1センチメートル。雄しべは4本、花冠の上側に突き出る。萼(がく)は筒状で5裂し、短い毛がある。山野のやや湿った所に生え、北海道から沖縄、および朝鮮半島、中国に分布する。苦草という名がついているが、それほど強い苦味はない。

村田 源 2021年9月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニガクサ」の意味・わかりやすい解説

ニガクサ(苦草)
ニガクサ
Teucrium japonicum; germander

シソ科の多年草。日本全域と朝鮮半島に広く分布し,山野の少し湿ったところに生える。細長い地下茎がはい,茎は直立した四角柱状で高さ 70cmに達する。葉は対生し,長さ5~10cmの楕円状披針形でふぞろいな鋸歯をもち,裏面の脈上にまばらに毛を生じる。夏から初秋にかけて,茎の先端や上部の葉の基部から穂状に多数の淡紅色の唇形花を密につける。萼筒腺毛を生じない。ツルニガクサ T. viscidium var. miquelianumはニガクサに似ているが全体に小型で,花の萼筒に腺毛を密に生じる点で異なる。和名はニガクサであるが,葉や茎に苦みはない。

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