腺毛(読み)センモウ

デジタル大辞泉 「腺毛」の意味・読み・例文・類語

せん‐もう【腺毛】

植物表皮に生じる毛のような突起物で、特殊な液体分泌するもの。先端の膨らんだ棍棒こんぼう状のものが多い。食虫植物消化液を出す毛、花の蜜腺の毛など。

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精選版 日本国語大辞典 「腺毛」の意味・読み・例文・類語

せん‐もう【腺毛】

  1. 〘 名詞 〙 植物の体表にある多細胞の毛。先端に粘液その他の分泌物を含む。形状は種々あるが先端がふくらんだ棍棒(こんぼう)状のものが多い。花の蜜腺(みつせん)の毛、食虫植物が消化液を出す毛など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「腺毛」の意味・わかりやすい解説

腺毛
せんもう

植物体の表面に生える毛のうち、分泌物を出すものの総称。多細胞で先端が丸く膨らんだものが多い。分泌物は植物の種類と部位によってさまざまだが、粘液、樹脂、蜜(みつ)、揮発性油などが普通であり、塩生植物のハマアカザなどでは過剰塩分が毛を通じて排泄(はいせつ)される。また、イラクサの葉や茎にある微小な刺(とげ)の基部は複数の小さな細胞からなるが、先端は細長い毛管状の単細胞で、手などが触れると先端が折れて毒液が体内に注入され、虫刺されと同様のかゆみを引き起こすので、刺毛(しもう)とよばれる。なお、表皮だけでなく内部の組織をも含んだ突起物である場合は、毛ではなく毛状体であるから、これが分泌を行う場合は厳密には腺毛とよぶことはできない。

[福田泰二]

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世界大百科事典(旧版)内の腺毛の言及

【毛】より

…細胞が1列に並んだ毛のほかに,分枝のみられる星状毛や,細胞が平面的に並んだ鱗片scaleも毛の一種である。毛の類型化はいろいろの基準によって行われ,形状から刺毛,鉤毛(こうもう),絨毛(じゆうもう),綿毛,剛毛,棘毛(きよくもう),囊状毛,星状毛,鱗毛,乳頭突起など,性質や働きから腺毛,粘毛,根毛,吸収毛,散布毛,側糸,感触毛などが分類される。 毛の働きは一様ではないが,植物体の保護の役目を果たすことが多い。…

※「腺毛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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