ニャキュサ(読み)にゃきゅさ(その他表記)Nyakyusa

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニャキュサ」の意味・わかりやすい解説

ニャキュサ
にゃきゅさ
Nyakyusa

アフリカ、マラウイ湖タンザニアマラウイモザンビークにまたがる)の北側に住むバントゥー系の民族。人口は30万以上。主食バナナのほかにトウモロコシキビ、豆などを栽培する農耕民。米とコーヒーは換金作物として重要で、牛の飼育も特別な重要性をもつ。畑作は男女の仕事、家畜の飼育は男のみの仕事である。

 ニャキュサは独立した首長国がいくつも林立している民族であり、首長国は数千の人々からなる村々の連合体であった。ニャキュサの少年は12歳前後になると父の村を離れ、少年たちだけで新しい村をつくった。彼らはその村で結婚し家族の生活を築いた。財産の相続や地位の継承に有効な親族関係が縦の関係とすれば、ユニークな年齢組村の体系は親族関係を横断する横の関係として村と村との連帯を強めている。近年は土地不足のため、新しい村をつくることがむずかしくなっている。伝統的宗教は祖先崇拝である。

[松園典子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android