ニュートンの運動方程式(読み)ニュートンのうんどうほうていしき(英語表記)Newton's equation of motion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニュートンの運動方程式」の意味・わかりやすい解説

ニュートンの運動方程式
ニュートンのうんどうほうていしき
Newton's equation of motion

ニュートン力学において,運動の第二法則を式で表わしたもので,質点の運動の様子を決める微分方程式である。質量 m物体に力 f が作用したときの物体の加速度を a とするとき,直角成分を a=(axayaz) ,f=(fxfyfz) と書けば,運動方程式および成分式は mafmaxfxmayfymazfz と書かれる。物体が運動すると,位置や速度が変る。それらを表わす位置ベクトル r(t) ,速度ベクトル v(t) は時間 t関数であって,それらの導関数として加速度 aadv/dtd2r/dt2 ,またその成分は axdvx/dtd2x/dt2 などと書かれるから,運動方程式は r または xyz についての二階微分方程式である。運動方程式の役割は2つある。第1は,運動の様子つまり物体の時々刻々の位置がわかれば物体に働く力が求まる。この場合は位置 r(t) が t の既知関数であるから,これを2回微分して加速度 a を求め,これに質量を掛けた ma が質点に働く力 f を与える。ニュートンが,惑星の運動を表わすケプラーの法則から惑星に働く太陽の力を求め,万有引力の法則を導いたのはその例である。第2は,逆に物体に働く力がわかっているときは,運動方程式を r の微分方程式とみなし,積分して位置 r を時間 t の関数として求めることによって,運動の様子が知られる。このとき,ある時刻における物体の位置と速度を知れば,それ以後の運動が完全に決る。ある位置で速度を適正に与えた月ロケットが慣性飛行で月に到着するのはこの例である。運動量 mvp と書く。 p を用いて運動方程式を dp/dtf の形に書くこともある。この式と maf とは,質量 m が一定ならば同等であるが,m が変化すれば同等でない。相対論的力学では m は速さに応じて変化するが,そのときの正しい運動方程式は dp/dtf である。

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