改訂新版 世界大百科事典 「ハイエルマンス」の意味・わかりやすい解説
ハイエルマンス
Herman Heijermans
生没年:1864-1924
オランダの劇作家。高名なユダヤ人ジャーナリストを父としてロッテルダムに生まれた。高等学校を卒業後,銀行員,古着商,家庭用品商などを経て,1892年,有力新聞《デ・テレグラーフ》の劇評担当記者となる。かたわら小説や戯曲の創作を始める一方,社会主義運動に加わる。93年,帝政ロシアのユダヤ人迫害をテーマとした1幕物《アハスフェルス》を発表,上演されて大きな反響を呼んだ。以後,《ユダヤ人街》(1898),《胴鎧》(1901),《朝日商会》(1908)など社会問題をテーマとしたすぐれた写実主義の戯曲を執筆している。とくに悲惨な漁民の生活を描いた《天佑丸》(1900)で国際的名声を博した。
執筆者:渋沢 元則
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報