古浄瑠璃の曲名。漢字をあてるなら〈花屋〉とするのであろう。1634年(寛永11)刊。薩摩太夫正本が現存し,6段構成で上下2冊からなる。筑前博多の武士花屋長者家房には花世姫・花若丸の2子があった。花世姫に九州の管領萩原国司が求婚するが花屋は許さず,怒った国司は朝廷に讒奏する。花屋はとらえられ相模国横山に流罪となる。2子は父の無実を訴えるため旅に出,道中数々の苦難にあうが筑前楊柳観音の加護で無事都に到着する。当時,皇后が御悩であったが,占いによって花若に祈禱を依頼し,その験で平癒する。花若はその恩賞に筑前国を賜り,父の赦免状を得る。由比ヶ浜で父が処刑されようとするところに駆けつけ,宣旨を伝えて父を救い,筑前に帰って国司に復讐し,再び繁栄する。近時,同材の奈良絵本が発見され,原拠は室町末期の御伽草子系の物語であることが知られるようになったが,本曲は劇的な場面も多く,初期浄瑠璃の演劇性を考える上で注目される。
執筆者:山本 吉左右
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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