流罪(読み)るざい

精選版 日本国語大辞典 「流罪」の意味・読み・例文・類語

る‐ざい【流罪】

〘名〙 律による刑罰一つ罪人辺境の地または島に流す刑。死罪に次ぐ重刑。律では遠流・中流近流三種があり、京都中心遠近が定められており、罪人を流刑地に一年間拘禁したのち、その地の戸籍に加え永住させた。流刑。〔律(718)〕
※宇津保(970‐999頃)あて宮「るざいのつみともならば、いかがせん」

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デジタル大辞泉 「流罪」の意味・読み・例文・類語

る‐ざい【流罪】

流刑」に同じ。

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百科事典マイペディア 「流罪」の意味・わかりやすい解説

流罪【るざい】

古代以来,死罪に次ぐ重刑として行われた刑罰。流刑(るけい)ともいう。施行当初は律令制以前に行われていた,神の怒りに触れた者を島に捨てる〈神逐ひ〉〈はらひ〉の思想を色濃く残していたとされる。律では五刑の一で,近流(こんる)・中流(ちゅうる)・遠流(おんる)の3等が中心を占め,遠隔地への強制移住と配所での一定期間の労役(徒(ず))とを合わせる。配所は724年式により遠流は伊豆国・安房国・佐渡国・隠岐国など,中流は伊予国など,近流は越前国・安芸国と定められたが,その後変更もあった。中世には朝廷による流罪では前述の配所のほか,陸奥国・越後国,硫黄島などの例がみられる。鎌倉幕府法では所領を持たない凡下(ぼんげ)の輩に対する刑罰として行われ,およそ所領没収に相当するものと位置づけられていた。江戸時代には遠島(えんとう)(島流し)と称し,過失殺・博打・殺人従犯などの刑罰として広範に執行された。配流先は江戸からは伊豆大島・八丈島など七島,京・大坂などからは薩摩五島列島・隠岐国などと定められた。罪人は財産を没収され,配流先では自活を余儀なくされたが,のちには少々の手当てが支給された。明治新政府も1870年五刑の一として北海道への流刑を規定したが,1873年廃止された。
→関連項目引廻し

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世界大百科事典 第2版 「流罪」の意味・わかりやすい解説

るざい【流罪】

古代以来明治末まで行われた死刑につぐ重刑。流刑(るけい)。日本の古語には刑を意味する語がなく,ともに罪と称し,唐律に流刑というのを日本律では流罪といった。
[古代]
古代律令継受以前の日本では,神の怒りにふれた者を島に捨て殺しにすることが行われていた。唐律を継受しても,日本律の流罪にはこの固有の思想が強く残った。流罪は律では五刑の一つで,近流(ごんる),中流(ちゆうる),遠流(おんる)の3等がある。本人の現住地から遠隔地への強制移住と配所での徒(徒罪(ずざい))1年の服役とを合わせた刑罰。

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普及版 字通 「流罪」の読み・字形・画数・意味

【流罪】りゆうざい・るざい

流刑。

字通「流」の項目を見る

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世界大百科事典内の流罪の言及

【遠島】より

…江戸幕府の刑罰の一つ。流罪(るざい)ともいい,その罪人を流人(るにん)という。離島に送り,島民と雑居して生活させる刑で,《公事方御定書》(1742)以後制度が整った。…

【引廻し(引回し)】より

…また反乱の降人,捕虜などを,死罪を免じて〈大路を渡〉したうえで禁獄することも行われた。なお,流罪と定まった者を流刑地に送る際,京都の居宅から都のはずれまで,後向きに馬に乗せ(身分ある者は後向きに輿(こし)に乗せ)て連行したのも,やはり罪人を衆にさらすためであって,一種の引廻しといえる。 中世(おそらく室町時代)に入ると,引廻し(〈大路を渡す〉)はいっそう盛んに行われるようになり,死罪犯も引き廻したのちに刑を執行する方式が主流となったほか,死一等を減ぜられた者を車や刑架に縛して引き廻す〈はりつけ〉の刑も行われた。…

※「流罪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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