草木の切り花を販売する店。18世紀ごろから大都市に現れ、おもに神仏に供える花を手桶(ておけ)に入れて商った。いけ花の花は少なかったという。店の前に柳の木を植え、これを看板とした。19世紀後半からは温室による営利的栽培が普及し、華道の隆盛につれて、いけ花用切り花の需要が増えた。1950年(昭和25)以後は園芸店ともいうようになり、商品はおもに花卉(かき)市場から供給されている。一方、こうした店売りに対して、振売りの花売りも存在した。籠(かご)、二階棚、竹筒などに自家栽培の切り花を入れて天秤(てんびん)棒で担いだ男性や、菰(こも)に巻いて頭にのせたり背負ったりした女性が町中を売り歩いた。近代でも19世紀末ころまでは荷車にのせて売り歩く男性の花売りがいたり、また、京の大原女(おはらめ)も薪にかえて花を売るようになった。現代では担売りはほとんどみられない。
[遠藤元男]
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