日本大百科全書(ニッポニカ) 「バグリツキー」の意味・わかりやすい解説
バグリツキー
ばぐりつきー
Эдуард Георгиевич Багрицкий/Eduard Georgievich Bagritskiy
(1895―1934)
ソ連の詩人。本姓Дзюбин/Dzyubin。オデッサ(現、オデーサ)のユダヤ人職人の家に生まれる。測量技術学校に学び、1915年から詩を発表。十月革命を迎え1919年からパルチザン部隊に参加。のち「南部ロスタ」通信社に入り、革命的でロマンチックな作品を書き続けた。1925年モスクワに移る。叙事詩『オパナスの唄(うた)』(1926)は、革命戦のなかで悲劇的運命により殺されたウクライナ農民に関する作品で、伝統的「ドゥーマ(語り唄)」と古代ロシアの『イーゴリ遠征物語』の形式を継承発展させたものである。第一詩集『南西』(1928)、第二詩集『勝利者たち』(1932)などには、ネップ(第一次五か年計画)や革命の継承などの歴史的時代がこの詩人独自の情熱と共感をもって歌い込まれている。ほかに叙事詩『最後の夜』(1932)などがある。
[草鹿外吉]