バルディビア文化(読み)バルディビアぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「バルディビア文化」の意味・わかりやすい解説

バルディビア文化 (バルディビアぶんか)

エクアドルのグアヤキル港の西約90km,太平洋岸にある貝塚遺跡バルディビアValdiviaを標準遺跡とする文化。アメリカ大陸で最古土器文化(前3000年ころ)であるとされる。貝塚の大きさはおよそ150m×160mで,1957年に発掘され,住居,炉,墓が確認された。生業は大量の魚貝類など海産物採集を主とし,貝製の釣針,その製作のための石鋸,石錐などの加工具,網漁に使われる石錘がある。鹿猟も行われたが,槍先用の石器が発見されないことから,槍先には木など残りにくい材料が使われたのか,あるいはわな猟であったことをうかがわせる。高温多湿な地域だけに植物性の遺物はまったく残されていないが,おそらくペルー海岸の同種の遺跡にみられるような多様な遺物があったと考えられる。土器は壺,鉢類で刻線文,凹線文,貼付け文,爪形文などの幾何学的な構成文様を施す。わずかな小石偶と多量の女性土偶がつくられた。日本の縄文時代後期の土器などと対比されて,太平洋を挟んだ日本との文化的な交流が論じられたが,一般的には受け入れられていない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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